日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃が嵌頓した後腹膜窩ヘルニアの1例
蓮田 正太蓮田 慶太郎蓮田 晶一
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キーワード: 内ヘルニア, 胃嵌頓
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2010 年 71 巻 7 号 p. 1879-1882

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抄録

症例は84歳,女性.腹部手術の既往はない.元来健康であったが,突然の嘔吐と吐血が数日間続き入院した.軽度の貧血があり,腹部に無痛性のやわらかい腫瘤を触知した.上部消化管内視鏡検査では食道に出血性病変はなく,胃は全体に浮腫が強く,胃体中部で全周性の狭窄を認め,狭窄部の8cm肛側で内腔は完全に閉塞していた.腹部CTでは胃は著明に拡張し,尾側のscanで一旦狭窄し,さらにその尾側で再度拡張していた.前庭部から十二指腸にかけ壁の肥厚がみられた.胃の周囲に腫瘍性病変はなく,胃癌による幽門狭窄を疑い手術を行った.網嚢内の横行結腸間膜根部と膵の間に径7cmのヘルニア門があり,胃が後腹膜腔に嵌頓していた.胃を還納しヘルニア門を閉鎖した.術後経過は順調で術後25日に退院した.本症例の様な胃の内ヘルニアは極めてまれであり文献的考察を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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