日本臨床外科学会雑誌
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症例
Tailgut cystに発生した腺扁平上皮癌の1例
井原 司冨崎 真一佐藤 寿洋井関 充及
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2014 年 75 巻 1 号 p. 164-168

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抄録

症例は71歳,男性.平成24年7月,尾骨部の疼痛と腫脹で近医を受診した.尾骨部嚢胞と診断され切開されゼリー状の排液が流出した.嚢胞壁の生検より腺癌と診断され,手術目的に当院に紹介された.臀部は尾骨と肛門の間,皮膚から皮下にかけ硬い結節を伴う4cm大の腫瘤を認めた.CT・MRIでは尾骨先端,肛門後隙皮下に4cm大の充実部と嚢胞部が混在した腫瘤を認めた.手術は全身麻酔下にjack knife体位にて経仙骨的に,皮膚浸潤部を含め腫瘤摘出を行った.病理診断で嚢胞壁はtailgut cyst に相当する像で,肥厚した嚢胞壁にadenosquamous carcinomaを認めた.術後4カ月目に臀部に局所再発をきたし,6カ月目に多発肺転移を認めた.
Tailgut cystの悪性化は極めてまれであり,これまで本邦でも3例の報告をみるのみである.今回,われわれはtailgut cystより発生した腺扁平上皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察とともに報告する.

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