抄録
症例は59歳の男性で,下痢を主訴に受診し,その精査中,腹部CT検査でTrietz靱帯近傍に8cm大の腫瘤を発見された.Fluorodeoxyglucose-positron emission tomography (FDG-PET)では同部位に不均一な淡いFDG集積がみられ,それ以外の異常集積を認めなかった.小腸造影X線検査,上部・下部消化管内視鏡検査においても,明らかな異常所見はみられなかった.空腸原発または原発不明の腹腔内間葉系腫瘍と診断し,開腹手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯近傍の空腸間膜内に存在し,周囲への癒着もなく,腫瘍を含めて空腸および空腸間膜の切除を行った.摘出標本で,腫瘍は空腸との連続を認めず,病理組織学的検査所見でカルチノイドと診断された.その他の部位にカルチノイドの病巣を認めないため,腸間膜が原発巣と診断した.腸間膜原発カルチノイドは非常に稀である.若干の文献的考察を加え,報告する.