オレオサイエンス
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総説
白い乳に含まれる赤いタンパク質〜ラクトフェリンの機能性〜
髙山 喜晴
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2023 年 23 巻 8 号 p. 423-429

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抄録

ラクトフェリンは乳や涙などの哺乳類の外分泌液に含まれている糖タンパク質である。血中の鉄輸送蛋白質であるトランスフェリン(セロトランスフェリン)に類似した立体構造を持ち,1分子あたり2分子の鉄イオンと強固に結合する。細菌の増殖に必要な鉄をキレートすることで静菌作用を発揮する他,直接的な殺菌作用,免疫調節機能等により生体防御に寄与している。さらに,ラクトフェリンの経口投与により脂質代謝や糖代謝が改善されることが動物実験やヒト試験で明らかになっている。ラクトフェリンは脂肪前駆細胞の脂肪細胞分化を阻害するほか,脂肪分解を促すことで成熟した脂肪細胞における脂肪蓄積を阻害する。肝細胞や脂肪細胞へのラクトフェリンの取り込みや細胞内情報伝達経路の活性化は,LDL受容体関連タンパク質-1(LRP-1)によって担われている。

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© 2023 公益社団法人 日本油化学会
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