日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹腔鏡下直腸高位前方切除術・胆嚢摘出術を施行したMorquio症候群の1例
宮崎 貴寛湯沢 賢治米山 智小崎 浩一小泉 雅典植木 浜一
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 5 号 p. 1093-1098

詳細
抄録

Morquio症候群は脊椎後弯・側弯,低身長などの骨格病変を主体とし,本邦では頻度約1/50万人と極めて稀な常染色体性劣性遺伝性疾患である.本邦で本疾患患者への腹腔鏡手術の報告例はない.本疾患患者に腹腔鏡下直腸高位前方切除術・胆嚢摘出術を施行したので報告する.症例は71歳,男性.身長127cmの低身長,側弯・胸郭変形が高度の体幹短縮型小人症で,術前診断は直腸癌(RS,T3,N0,M0,cStage II),胆嚢結石症であった.低身長,胸郭変形のため開腹手術は困難であり,腹腔鏡手術が好ましいと判断し,腹腔鏡下高位前方切除術・胆嚢摘出術を施行した.安全に手術を施行でき,合併症なく術後12日目に退院した.ただし,本疾患患者では脊椎・胸郭変形による挿管困難や低肺活量による術中換気不全が問題となるので,術前から麻酔科と連携して手術を計画する必要がある.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top