抄録
特発性食道破裂は胸部下部食道に好発するが,今回,保存的治療により軽快した胸部上部~中部特発性食道破裂の1例を経験したので報告する.症例は60代,女性.嘔吐後に胸痛を訴え救急搬送.既往歴に大動脈炎症候群があり,プレドニン8mg/日を内服中であった.胸腹部単純CTで気管分岐部食道周囲にair bubbleを認め,上部内視鏡検査では上部~中部食道に連続性の縦走潰瘍あり,特発性食道破裂と診断.縦隔内限局型で全身状態は安定していたため保存的治療を行った.入院15日目より食事開始し,合併症なく経過し,入院43日目に退院となった.胸部上中部食道での破裂の報告は稀であるが,本症例では大動脈炎症候群とステロイド長期内服歴が発生機序に影響したと思われた.