抄録
症例は61歳,女性.検診の上部消化管内視鏡検査にて前庭部後壁に20mm程度の粘膜下腫瘍を指摘された.超音波内視鏡検査では,大きさ20mm大でほぼ均一な低エコー性腫瘤として認めた.CTでは胃壁外発育を示す20mm程度の軟部陰影として描出された.粘膜切開直視下生検を行い,胃神経鞘腫と診断し,腹腔鏡下胃局所切除を施行した.腫瘍は紡錘形の腫瘍細胞が不規則に交錯しつつ増殖する像から成り,一部柵状に配列する所見も認められた.免疫染色で生検と同様にc-kit陰性,S-100蛋白陽性,α-SMA陰性,CD34陰性であり,核分裂像はみられず良性胃神経鞘腫の診断となった.胃神経鞘腫は,存在診断は上部消化管内視鏡検査や消化管造影で容易であるが,確定診断は困難である.今回われわれは,術前に粘膜切開直視下生検を用いて胃神経鞘腫と診断し,腹腔鏡下胃局所切除を行った症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.