日本臨床外科学会雑誌
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診断に難渋した原発性びまん浸潤型直腸神経内分泌細胞癌の1例
関根 隆一櫻庭 一馬木川 岳小山 英之塩澤 敏光大池 信之田中 淳一
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2016 年 77 巻 9 号 p. 2270-2275

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抄録

症例は88歳,男性.他院の腹部超音波検査で上行結腸癌を指摘されていたが,急な肛門部痛があり当院を受診した.注腸検査で直腸に全周性狭窄を認め,大腸内視鏡検査はスコープ通過困難,狭窄部の生検はGroup1だった.各種検査を行うも確定診断できなかった.術中経肛門的粘膜下生検の迅速病理で低分化型腺癌または神経内分泌細胞癌と診断し,併存する上行結腸癌と共に腹腔鏡下直腸切断術,右半結腸切除術を施行した.病理診断はA,type2,75×65mm,tub1+muc,pT3(SS),pN0,pStage II,Rb,type4,45×35mm,neuroendocrine carcinoma,pT3(A),pN1,pStage IIIa,免疫組織化学染色で比較的特異性の高いproGRP陽性であり,神経内分泌細胞癌と診断した.びまん浸潤型,神経内分泌細胞癌と共に稀な病態の大腸癌症例を経験したので報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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