日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸原発良性線維性組織球腫の1例
岡田 拓久荒川 和久榎田 泰明富澤 直樹安東 立正井出 宗則
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2017 年 78 巻 3 号 p. 515-520

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抄録

良性線維性組織球腫(benign fibrous histiocytoma;以下,BFH)が腸管に原発することは非常に稀であるが,今回,十二指腸原発BFHに対して手術を行った1例を経験した.症例は60歳,男性.主訴は腹痛であった.上部消化管内視鏡検査・CT検査で十二指腸球部に粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引術で組織球系腫瘍が疑われた.有症状であり悪性も否定できず,幽門側胃切除,リンパ節郭清,Roux-en-Y再建を施行した.病理組織学的所見では腫瘍細胞には明らかな悪性を示唆する所見はなく,組織球の集蔟を認め,様々な免疫染色検査の結果,CD68/CD163/CD31がびまん性に陽性でありBFHと診断した.術後18カ月を経過したが,再発所見は認めていない.腸管に発生したBFHの報告はほとんどなく非常に稀な症例であるため,文献的考察を含めて報告する.

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