日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術と同時に摘出した伏針の1例
雄谷 慎吾湯浅 典博竹内 英司後藤 康友三宅 秀夫宮田 完志
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2017 年 78 巻 3 号 p. 591-595

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抄録

症例は69歳の女性で,既往に針治療歴があり,数年前より腹部金属片異物を指摘されていたが放置していた.平成18年4月,腹痛を主訴に近医を受診したところ,金属片異物の位置が腹部の深部に移動していたため,手術を勧められ当院を受診した.腹部単純X線写真では左側腹部に幅約1mm,合計約34mm長の4個の断片となった金属片異物を認めた.腹部CT検査では胆石と左傍結腸溝に異物を認めた.腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い,同一のポートを使用してX線透視下に腹腔内の金属片異物を摘出した.異物は把持にて容易に折れたが,計7個の断片として摘出した.針治療歴があることからこの腹腔内異物は伏針と考えられた.伏針は移動による臓器損傷や伏針自体の腐食の可能性があるため,発見されれば早期に摘出すべきである.

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