2019 年 80 巻 11 号 p. 1999-2005
症例は68歳,男性.18歳頃より左横隔膜上憩室を指摘.3カ月前より嘔吐と体重減少を認め前医を受診,食道癌の診断で当院へ紹介となった.消化管造影検査および内視鏡検査では,食道LtAeG領域の左前壁に粘膜下主体の7cm大の腫瘍を認め,生検は扁平上皮癌であった.CTでは心嚢,横隔膜脚,左肺下葉への浸潤が疑われた.①腫瘍の中心が以前の横隔膜上憩室の位置と一致,②大型腫瘍だが粘膜下病変主体で粘膜病変は左前壁に限局,以上より横隔膜上憩室発生食道癌と診断,術前化学療法後に手術の方針とした.術中所見では左横隔膜,左肺下葉,肝外側区に腫瘍が強く固着,各々合併切除を要したが,左開胸開腹中下部食道切除でR0切除を遂行した.切除標本の肉眼所見では腫瘍はほぼ粘膜下に存在,術前画像検査と併せて憩室発生食道癌と診断した.腫瘍の横隔膜への浸潤は認めたが,左肺と肝臓とは炎症性の癒着のみであった.