2019 年 80 巻 7 号 p. 1291-1296
症例は70歳の女性.2015年に両側卵巣癌の診断で,術前・術後化学療法+卵巣癌根治術を施行した.2018年9月のCTで左上外側乳房に腫瘤性病変を認め,当科へ紹介となった.卵巣癌,乳癌の腫瘍マーカーはいずれも陰性であった.針生検で悪性所見を認めたが,組織型や原発巣の特定は困難であった.CTでは腋窩リンパ節の腫脹や肺・肝転移は認めなかった.画像上は乳癌の所見であったが,既往歴・針生検で卵巣癌の転移も否定できず,診断と治療を兼ねて左乳房温存術+センチネルリンパ節生検を施行した.術後の永久標本で卵巣癌の転移と診断された.術後のPET-CT検査では,明らかな他の転移性病変は認めていない.現在,婦人科で化学療法を施行中である.悪性腫瘍の乳腺転移は非常にまれな病態である.