2019 年 80 巻 7 号 p. 1370-1375
症例は70歳,女性.胃角部小彎の早期癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.最終診断でmoderately differentiated adenocarcinoma,T1b1(SM1),N1,M0,pStage I Bであった.術前のCTで左副腎に小結節を認めていたが,副腎腺腫疑いとして経過観察となっていた.術後6カ月目のCTで左副腎腫瘍は増大傾向となり,MRIやPET-CTの結果,胃癌の副腎転移が疑われた.その他,遠隔転移やリンパ節転移など再発所見は認めなかったため,診断も兼ねた外科的切除の方針とし,腹腔鏡下左副腎摘出術を行った.病理組織診断は非機能性副腎皮質癌pT1N0M0 Stage I Bとなった.副腎皮質癌は稀な疾患であり,さらに非機能性であれば術前に診断することは困難な場合が多い.今回,胃癌術後の副腎転移を疑い,診断を兼ねた切除を行った副腎皮質癌の1例を経験したので報告する.