日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆管浸潤が疑われた肝原発神経内分泌腫瘍の1例
山本 久斗小川 晃平田村 圭坂元 克考高井 昭洋高田 泰次北澤 理子
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2021 年 82 巻 1 号 p. 151-158

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抄録

肝原発神経内分泌腫瘍は稀であり,術前診断に苦慮することが多い.症例は58歳の女性.6年前よりCTにて肝S1/S4にひょうたん型の腫瘍を認めたが,増大傾向にあったため紹介された.CTにて肝S1/S4に径7cm大の境界明瞭な腫瘍を認め,右後区域肝管は軽度拡張を認めた.胆管浸潤を伴う肝原発悪性腫瘍の診断にて肝左葉・尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理では腫瘍細胞は均一な類円形核で索状~胞巣状構造をとり,好酸性間質を有し,免疫染色ではhepatocyteは陰性,CD56とsynaptophysinが陽性,Ki67 index(MIB-1 index)は5%,細胞分裂像は3/10HPFでありWHO分類(2010年)のNET G2に相当した.他臓器に原発病変を認めなかったことから,肝原発神経内分泌腫瘍と診断した.術後41週現在,無再発生存中である.

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