2021 年 82 巻 1 号 p. 159-165
症例は82歳,女性.64歳時より原発性胆汁性胆管炎(primaly biliary cholangitis,以下PBC)に対して内服加療中,81歳時に横行結腸癌に対して腹腔鏡下左半結腸切除術を施行した.術1年後に肝S3に15mm,10mm大の腫瘍を認め,異時性肝転移の術前診断で開腹下肝S3亜区域切除術を施行した.術後経過は良好で,術後14日目に退院となった.病理組織学的診断は悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma,以下DLBCL)であり,肝臓以外に病変は認めず,肝原発悪性リンパ腫と診断した.術後補助化学療法としてR-CVP療法を4コース施行し,術後18カ月経過も再発所見なく経過している.悪性リンパ腫において肝原発は稀であり,特異的な検査所見も認めない.術前診断は容易ではないが,肝外病変を認めない場合には肝切除術は成績も良好であり,診断,治療のいずれにおいても有用と考えられる.
また,発症には慢性肝疾患や自己免疫疾患の関連も指摘されているが,不明な点も多い.今回,PBCと合併した1切除例を経験したので文献的考察を加え報告する.