日本臨床外科学会雑誌
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症例
持続出血を伴う癌性皮膚潰瘍に対し動脈塞栓術を行った局所進行乳癌の1例
磯野 忠大坂東 裕惟康 良平渡邊 貴洋野澤 雅之上村 和康
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キーワード: 進行乳癌, 出血, 動脈塞栓術
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2021 年 82 巻 8 号 p. 1469-1473

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抄録

症例は54歳,女性.増大傾向を示す左乳房腫瘤から出血を伴うようになり前医を受診した.Mohs軟膏や放射線治療を行いながら外来化学療法を受けていた.化学療法中断後,往診にて緩和的治療を受けていたが,慢性的に出血が続き計6回の輸血を受けた.前医初診から1年11カ月後,比較的多量の出血が持続し局所の処置に困り,また強い倦怠感と息切れを主訴に当院に搬送された.入院にて局所の処置を行いながら輸血を行うも貧血の進行は抑制されず,入院5日目に動脈塞栓術(TAE)を施行した.TAE後は止血のみでなく浸出液や臭気も著明に改善し,亡くなるまでの21日間は穏やかな終末期を過ごすことができた.今回われわれは,制御困難な持続出血を伴う癌性皮膚潰瘍を形成した乳癌終末期患者に対してTAEを行い,良好な終末期を過ごせた1例を経験したので,若干の考察を加え報告する.

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