日本臨床外科学会雑誌
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症例
肺・心房内・副鼻腔内転移をきたした乳腺葉状腫瘍(最大径35cm)の1例
桃野 鉄平橘 強洲崎 聡光吉 明益澤 尚子濵田 新七
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2022 年 83 巻 2 号 p. 285-292

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抄録

乳腺葉状腫瘍は原発性乳腺腫瘍の0.3-0.9%程度と頻度の少ない腫瘍であり,悪性葉状腫瘍は葉状腫瘍の16-30%と言われている.

症例は47歳の女性で,右乳房に最大径35cm程度の巨大腫瘤を認め,右乳房切除,広背筋皮弁,分層皮膚移植を行った.切除標本の重量は7.9kgで術後病理診断は境界型葉状腫瘍であった.術後6カ月目の造影CTで肺腫瘤影を認め,診断および治療目的に胸腔鏡下左肺部分切除術を施行したところ,葉状腫瘍の転移の診断となった.転移を契機に乳房切除標本を再評価したところ,別部位では悪性葉状腫瘍に矛盾しないものであったため,悪性の診断へと見直した.その後,右房・副鼻腔にも急速に増大する腫瘤が出現し,臨床的に悪性葉状腫瘍の全身転移と判断した.過去に葉状腫瘍の鼻腔転移の報告例はなく,極めて稀である.

当初境界型と診断され,その後,肺・心房・副鼻腔転移をきたした乳腺巨大葉状腫瘍の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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