2022 年 83 巻 7 号 p. 1244-1249
症例は78歳,男性.椎間板ヘルニアの術前検査で胸部X線写真上の異常陰影を指摘された.胸部CTで右肺下葉に3cm大の腫瘤を認め,CTガイド下経皮的肺針生検を施行したところ意識レベルの低下を認め,循環動態が不安定となった.CTで空気塞栓症(脳,心臓)と診断され,挿管人工呼吸管理が開始された.心機能は早期に回復し,脳空気塞栓症に対し脳神経内科医により脳梗塞に準じた治療が開始された.第4病日からリハビリテーションが開始され,第11病日に抜管された.嚥下機能障害および左上肢の運動障害を認め,第35病日に経皮内視鏡的胃瘻造設術が施行された.肺生検の結果により,右下葉肺扁平上皮癌(T2aN0M0,Stage IB)と診断され,嚥下食が開始され,杖歩行が可能となった時点で,患者と家族が手術を希望し,第56病日に胸腔鏡下右下葉部分切除術が施行された.術後経過は良好で第88病日に自宅退院となった.