2022 年 83 巻 7 号 p. 1256-1265
症例は74歳の男性で,食事のつかえ感と体重減少を主訴に近医を受診.上部消化管内視鏡にて食道胸部中部から胸部下部の腫瘤を指摘,精査加療目的で当院へ紹介.術前の画像では,不整潰瘍を有する9cmの腫瘍性病変の診断であったが,生検では悪性所見は認めなかった.また,以前より血小板増多を指摘されており,当院初診時の血小板が高値であった.骨髄生検の所見,血液遺伝子検査の結果,骨髄増殖性腫瘍の一病型である本態性血小板血症の診断となった.食道の腫瘍性病変の術前診断でcytoreductive therapyを開始し,血小板数をコントロールの上,安全に胸腔鏡下食道亜全摘術が可能であった.血栓症や出血などの合併症なく,経過は順調で退院となった.
術後の病理診断にて食道悪性黒色腫の診断で,食道癌取扱い規約(第11版)でStage II,AJCC/UICC分類(第8版)でStage IIであった.術後補助化学療法としてnivolumabを投与し,本態性血小板血症に関しても治療を継続している.