2024 年 85 巻 4 号 p. 494-497
症例は63歳,女性.7年前から左乳房に発赤びらんが出現し,徐々に大きくなったため来院した.左乳頭を中心とした7.5×5.5cmの楕円形の赤色調の湿疹様変化が見られ,皮膚生検でPaget病と診断した.MRIでは乳房内には径約5cmのnon mass like enhancementを認め,この範囲にDCISが広がっていると考えた.乳房全切除術およびセンチネルリンパ節生検を行い,病理組織診断はPaget's disease,n0,浸潤部なし,ER陰性,PgR陰性,HER2スコア3+であった.乳房内に高異型度DCISの進展を認め,その範囲は9.0cmと術前診断よりも広範囲に及んでいた.乳房Paget病の外科治療においては,他の乳癌と同様に病巣を取り残すことなく切除することが重要であり,自験例のように長期間放置され広範囲に進展したPaget病においては,乳房内DCIS進展範囲を過小評価することなく確実に病巣を切除することが重要である.