2024 年 85 巻 7 号 p. 875-880
症例は76歳の女性で,5年前に食道裂孔ヘルニアに対して当院で腹腔鏡下根治術と噴門形成術を施行した.その際,胃体上部前壁に胃粘膜下腫瘍を認めたが,腫瘍径が10mmにて経過観察となった.退院後は他院に定期通院していたが,腫瘍が増大したため当院へ紹介となった.腫瘍は5年間で10mmから30mmへ増大したため,手術適応と判断した.前回手術の影響により,通常のLECSで腫瘍周囲を全層切除することは困難であると考え,胃内手術を選択した.腫瘍は噴門の機能を損なうことなく過不足なく切除が可能であった.術後は創部に感染を併発したが,第11病日に軽快退院し,術後6カ月無再発生存中である.胃内手術はLECSと比較し,手術手技による合併症の発生率が高く,創感染も多い傾向があるため手術操作に工夫が必要である.しかし,胃壁外からのアプローチが困難な場合に加え,種々の理由で胃壁の全層切除が困難な症例において,胃内手術は非常に有用な術式と考えられた.