1995 年 15 巻 3 号 p. 247-250
原発性副甲状腺機能亢進症患者3名に対し,セボフルランによる麻酔管理を経験した。このうち2名の患者で生理食塩水とエルカトニンによる高Ca血症と脱水の術前補正を必要とした。麻酔中は,1名の患者で血清Ca値が術前値より上昇したが,3症例とも術中不整脈などの合併症もなく,術後覚醒も良好であった。本疾患の麻酔では,術中の安定した循環動態管理と,術後低Ca血症の早期発見が重要である。セボフルラン麻酔の麻酔調節性と速やかな術後覚醒は,これらの面で他の麻酔方法に比べ有用と思われた。