日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
原著
一開業医の婦人科細胞診と組織診成績
岩淵 愼助
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 48 巻 2 号 p. 52-56

詳細
抄録

目的 : 1986∼2005 年の 20 年間における, 当院の細胞診と組織診成績を報告する.
方法 : 細胞診と組織診は全例, 岩淵が検鏡診断した. 組織診の標本作製は米沢市立病院に依頼し, 癌と診断した標本は米沢市立病院病理科医師に再検鏡診断を依頼し確認した. 加療を要すると診断した症例は米沢市立病院, 山形県立中央病院, 山形大付属病院他に紹介した.
成績 : 1) 子宮腟部頸管細胞診と組織診
受検者総数 37872 例, 年間平均 1893 例である.
要精検率計 949 例/37872=2.51%, 精検受診率 726/949=76.5%, 癌発見率 129/37872=0.34%, 誤陽性 8 例 0.02%, 誤陰性 0, 細胞診判定不能例 0 であった.
2) 子宮内膜細胞診と組織診成績
不正子宮出血を主訴として来院した 20∼80 歳代の検査結果である.
エンドサイトで採取し, 大部分はその直後内膜試験掻爬採取組織診した. 細胞診採取総計 2304 例で年間平均 115 例である. 要精検率 計 279/2304=12.11%, 精検受診率 (内膜組織診) 1199 例/2304=52.04%, 発見癌数 37 例, 癌発見率 37-組織判定不能例 11=26/1199=2.17%, 誤陽性 9 例/2304=0.39%, 誤陰性 2 例/2304=0.09%, 組織診判定不能例 11 例/1199=0.92%, 細胞診判定不能例 27 例/2304=1.17%であった.
3) 外陰部細胞診成績
外陰部びらんや潰瘍症例を湿綿球拭き取り採取した.
総計 431 例, 陰性 426 例 98.84%, 疑陽性 5 例 1.16%, 陽性 0 例, 疑陽性 5 例は Paget 氏病疑いで組織診では炎症所見であった.
4) 乳汁細胞診
乳癌検診は乳房触診と超音波検査をしているが, 乳汁分泌がみられる例の乳汁細胞診である. 総計 365 例, 陰性 349 例 95.61%, 疑陽性 14 例 3.85%, 陽性 2 例 0.54%であった. 疑陽性 14 例, 陽性 2 例, 計 16 例は米沢市立病院他外科に紹介し, 手術加療し乳癌であった.
結論 : 一開業医による 20 年間の婦人科領域の細胞診と組織診の成績を報告した.

著者関連情報
© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top