日本臨床細胞学会雑誌
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症例
バルトリン腺原発粘液癌のまれな 1 例
吉良 佳那高橋 保宮嵜 恵利子高橋 明日香大原 栄二戸井 慎松本 学弘井 誠
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2013 年 52 巻 6 号 p. 552-556

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抄録
背景 : バルトリン腺原発の粘液癌は極めてまれで, これまで細胞所見の報告はない. 今回, 外陰部擦過細胞診で粘液癌を推定できた 1 例を経験したので報告する.
症例 : 82 歳, 女性. 以前よりバルトリン腺嚢胞を指摘されるも放置していた. 今回, 不正性器出血を認め近医を受診し, 左腟前庭部に易出血性の腫瘤を指摘された. 外陰部擦過細胞診では, 多量の粘液を背景に印環細胞型の腫瘍細胞が孤在性あるいは集塊状に多数出現しており, 粘液癌を推定診断した. 組織学的には印環細胞が粘液湖に浮遊する粘液癌の像がみられ, 一部では本来のバルトリン腺との連続性を認めた. 免疫組織学的に CK20, CK7, CDX2, ER, CA125 陽性, GCDFP-15 陰性であった. 本腫瘍は, 組織所見・免疫染色所見から既往の大腸癌・乳房 Paget 病の転移や外陰部異所性乳腺組織由来の粘液癌と鑑別可能であった.
結論 : 本例の細胞像は粘液癌として特徴的であり, 多量の粘液を背景に印環細胞型腺癌細胞を認めた場合は本組織型の推定診断が可能である. バルトリン腺癌は臨床的に膿瘍や嚢胞として放置され, 診断や治療が遅れることが多いと指摘されており, 本腫瘍の早期診断には積極的な細胞診の活用が有用と考えられる.
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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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