2018 年 52 巻 4 号 p. 260-268
透明な水ベースの基剤に油性成分を配合するには,親水性界面活性剤のミセルを使用するのが一般的である。しかし,親水性界面活性剤は親水基由来のべたつきがあり,配合に制約があった。我々はある種の親油性ポリエーテル変性シリコーンをイオン性界面活性剤と組み合わせ,調製法を工夫すると,数10~100nmの小胞体からなるベシクル/ミセル複合体として水に安定に透明分散できることを見出した。ポリエーテル変性シリコーンのベシクル形成については過去に数報の報告例があるが,ポリエーテル変性シリコーンは膜流動性が高いため,実用上の安定性が十分でないという問題があった。分散液は従来は困難であったシリコーン油を可溶化でき,基質への展開性が高いシリコーンの特徴を有していた。加えて,相平衡研究の結果,保湿剤のグリセリンを高配合しても,塗布時の水の揮発に伴いラメラ液晶を形成することで,べたつきがなく,浸透感が高く,なめらかという従来の制約を覆す良好な使用性を有することが示された。この化粧水は皮膚を高レベルで保湿し,次に塗布する乳液・美容液へ備えるという化粧水の目指す高い機能と心地よい使用感を両立したものである。