日本障害者歯科学会雑誌
Online ISSN : 2188-9708
Print ISSN : 0913-1663
ISSN-L : 0913-1663
症例報告
口唇閉鎖困難と構音障害の訴えを契機に重症筋無力症と診断された1例
大久保 真衣三浦 慶奈西岡 さやか杉山 哲也石田 瞭福田 謙一
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 40 巻 2 号 p. 179-184

詳細
抄録

重症筋無力症(myasthenia gravis;MG)は自己免疫疾患である.今回われわれは,口がうまく動かない,呂律がまわらないことを主訴に来院し,後にMGと診断しえた1例を経験したので報告する.患者は23歳女性.2017年秋頃から夕食時の口唇閉鎖困難と長時間発話時の構音障害を自覚し,2018年5月に某歯科病院摂食嚥下リハビリテーション科診療受診となった.全身の易疲労感の訴えはなかったが,体重減少を認めた.受診時は午前であったため,構音障害はほぼなく,口唇閉鎖可能であった.また嚥下機能もRSST 3回,MWST 5点で正常範囲であった.しかし夕食の摂取には1時間を要し,スープ類は手で口唇を押さえて摂取しているとのことであった.口腔機能検査として舌圧測定を行ったところ,16.0 Kpaで平均値から大幅に低下していた.また聖隷式嚥下機能質問紙では3項目該当で「摂食嚥下障害あり」と判定された.このため嚥下内視鏡検査を行ったところ,鼻咽腔閉鎖不全および嚥下後咽頭残留が顕著であった.この口腔機能低下症に関する口腔機能検査と嚥下内視鏡検査の結果からMGを疑い神経内科に診療依頼をしたところ,MGとの確定診断を得た.本症例はMGの特徴である日内変動が認められたが,初診時の口腔機能不全の訴えから口腔機能検査と摂食嚥下機能評価を行うことで専門医科に依頼することができ,早期のMG診断につながった.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本障害者歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top