応用地質
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断層の地形・地質学的特徴と地震活動および重力異常
島根県南西部, 弥畝山西断層を例として
福塚 康三郎金折 裕司
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2002 年 43 巻 4 号 p. 226-234

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抄録
島根県南西部に位置する弥畝山西断層の地形・地質学的な特徴を明らかにするとともに, 広域的な視点から断層と地震活動ゾーンとの関連性を検討した. さらに, 既往の重力異常を利用して弥畝山西断層の地下構造を推定した. 弥畝山西断層は長さ約30kmで, 断層のほぼ全域に沿って, 断続的にリニアメントが認められる. リニアメントの明瞭度や変位地形の有無に基づくと, 弥畝山西断層は北部と南部の2つのセグメントに区分される. 北部セグメントは多くの河谷に系統的な右横ずれが確認され, 活断層である可能性が高い. 一方, 南部セグメントは明瞭なリニアメントが認められないことから, 活断層である可能性は低いと判断された. また, 北部セグメントに沿って, Mj2.0以上の地震活動や2.0~3.0mgal/kmの重力異常の急勾配が認められた. これに対して, 南部セグメント周辺では地震活動は観測されておらず, 重力異常の勾配は0.5~1.5mgal/kmの範囲にある. これらのことから, 弥畝山西断層の北部セグメントは, 地殻深部まで達する大規模な断層であることが指摘される.
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© 日本応用地質学会
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