抄録
小切断により接地領域が減少し, 足底負荷の分布異常が生じる. 対側に疼痛を伴う足病変を有する場合, 小切断側の足底負荷量が増大する可能性があり潰瘍形成リスクを高める可能性がある. この症例報告では, 小切断後, 対側足趾で潰瘍形成を認めた2人の糖尿病患者の歩行時の足底負荷の特徴を調査した. いずれの症例も末梢神経障害があり, 足関節の背屈可動域制限を認めた. 調査結果より, 潰瘍部位である前足部の最大荷重量は, 小切断既往肢の前足部荷重量よりも著明に低かった. しかし, 症例1では前足部荷重量が健常高齢者の平均よりも高く, 症例2では健常高齢者の平均よりも低かった. 両症例には共通の理学所見が観察されたが, 症例1の10mの歩行時間は症例2よりも11秒短かった. 2症例の比較より, 同じ理学所見を有していても前足部の負荷量は歩行速度などの運動学的要因に依存することが示された.