2018年9月に足と心臓血管を専門とするクリニックを福岡市に開業して4年目を迎えた. 現在の診療体系上, 通常診療中の昼休みや診療後に往診するのは困難であり, 依頼された在宅診療を断らざるを得なかった. しかしながら, これまで在宅診療を行えた2名の患者とご家族には満足いただいている.
症例1: 70歳代, 高度認知症, 不穏, 施設入所中. 両下肢の足趾チアノーゼ, 壊疽を認める. 入所施設で看取りたいことが家族の希望であった. 積極的な治療は望まないが, 本人の苦痛が少ないような処置の希望があり, 当院の介入を開始した. 穏やかに過ごされ施設で看取れたことを家族から感謝された1例であった.
症例2: 80歳代. 両下肢うっ滞性皮膚炎・広範囲皮膚潰瘍, 両側下肢静脈瘤, 虚血性心疾患, 心不全, 洞不全症候群 (永久ペースメーカー植え込み). 通院治療を経て在宅診療へ移行した. 訪問看護を導入したことで衛生状態が改善し治癒に至っている.
今回はこれらの症例経過を供覧するとともに, 当院のような足病を得意としている専門クリニックでの外来診療, 在宅医療, 介護との連携の現状とその問題点や展望について述べる.
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