Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
スイカの糖集積に及ぼす果実肥大後期の果実周辺温度の影響
福岡 信之増田 大祐金森 友里
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2009 年 78 巻 1 号 p. 97-102

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抄録
スイカ苗を 2006 年 4 月 19 日に露地に定植した.果実肥大後期のスイカ果実周辺温度と果実の糖蓄積との関係をみるため,開花後 20~48 日の間,果実にポリエチレンフィルム,赤外線カットフィルム,黒色ナイロンネットをそれぞれ被覆する区を設けた.被覆期間中の果実温は,無被覆の対照区に比べてポリエチレンフィルム被覆区で高く,赤外線カットフィルムや黒色ナイロンネット被覆区で低かった.果実肥大はポリエチレンフィルム被覆区で促進され,赤外線カットフィルムや黒色ナイロンネット被覆区で抑制された.果実の中間部と皮境部の果肉細胞の肥大成長は,前者で後者に比べて顕著に促進された.ポリエチレンフィルム被覆区では果実のいずれの部位においてもグルコースとフラクトースの含量が低かったが,赤外線カットフィルム被覆区では果実の中間部と皮境部のフラクトースとシュークロース含量が高かった.以上より,果実肥大後期の高温による活発な細胞肥大は果実の糖含量の低下に密接に関係し,この期間に赤外線フィルムを被覆して低温とすると,糖含量の高い果実が生産できると考えられた.
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© 2009 園芸学会
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