Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
スイートピーにおける形態的および栽培的形質の遺伝的多様性
中村 薫福元 孝一明石 良
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 79 巻 2 号 p. 179-191

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抄録

日本ではスイートピーの切り花促成栽培が盛んに行われている.促成栽培において,不要な巻きひげを摘除する作業は労働量と経営コストを著しく増加させるため,巻きひげが複葉に変化した無巻きひげ形質は大変重要な形質である.本研究ではスイートピー 38 品種における 35 の形態的および栽培的形質について調査し,特に労働コストの低減を図る上で重要と思われる無巻きひげ形質に関する形質と他の形質間の相関を明らかにした.また,形態的および栽培的特性を基にクラスター分析を行った結果,供試した 38 品種は大きく 3 群に分類できた.第 1 群は開花が遅く庭園向けのグループ,第 2 群は切り花生産に適すると思われるグループ,第 3 群は切り花長が短く,庭園もしくはコンテナ栽培向けのグループであった.さらに主成分分析を行い,品種の分類に重要な形質を明らかにした.それらはクラスター分析の結果と一致するものであった.以上の促成栽培におけるスイートピー品種の形態的および栽培的形質の解析は,スイートピーの育種を効率的に進めるための知見になるものと思われた.

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© 2010 園芸学会
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