園芸学会雑誌
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カキの果実品質に及ぼす開花日, 種子, GA処理ならびに結果部位の影響
長谷川 耕二郎中島 芳和
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1990 年 59 巻 2 号 p. 263-270

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抄録

カキ‘前川次郎’の開花日, 種子の有無並びに結果部位が果実品質に及ぼす影響について調査するとともに, カキ‘次郎’のGA処理と果実品質との関係について調査した.
1. 正常花に比べて開花期が約12日も遅れる遅れ花の果実は, 正常花の果実に比べて小さく, 着色も遅れ, 糖度もやや低かった. 遅れ花果実の果頂裂果幅は正常花果実と同様, 大きかった.
2. 樹冠外側上部に着生する果実は他の部位とりわけ内側下部の果実に比べて果色, 糖度とも良好であった. 果実の果頂裂果幅は受光率の高い樹冠外側上部の有種子果で大きかった. 他方, 有種子果実が極めて少なく, 無種子果実が大部分の樹においては樹冠外側上部でも果実の裂果幅は小さかった.
3. 受粉が行われ多数の有種子果実を有する樹においては, 無種子果実の大きさは有種子果実のそれに比べて小さく, 着色及び糖度も劣った. 一方, 有種子果実の少ない樹では無種子果実でも着色の遅れや糖度の低下はみられなかった.
4. ‘次郎’の正常花及び遅れ花の開花時に受粉をし, 又, GA処理を行うと, 結果率が向上した. GA処理果実の平均種子数は少なくなり, 果頂裂果幅も少なくなった. しかし果実の大きさは無処理のものに比べて小さかった.

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