抄録
1986年から2001年までの16年間の観測結果をもとに,日照率から全天日射量を推定するAngstrom式の変数,係数のトレンドについて検討し,以下のような知見を得た.(1)全天日射量は全国的に有意な増加トレンドにあり,混濁係数の低下に表れるエアロゾルの減少が寄与している可能性が示唆された.(2)一方の変数である日照率では一様なトレンドは認められない.(3)Angstrom式の係数も多くの気象官署で変動トレンドが認められる.(4)Angstrom式の同定は,長期間の全天日射量,日照率を対象とするのではなく,必要に応じて期間を限定し行うことが望ましい.