抄録
本研究はランダムカスケードモデルを土壌中の移動現象の解析に用いたものである。砂丘砂を対象として染料トレーサー実験を実施し,染料浸透パターンをデジタル解析した.染料浸透による染色パターンは3つの実験スケール,0.25,0.50および1.00mすべてにおいて不均一性を示していた.ランダムカスケードモデルを染料浸透パターンに対して応用し,不均一な染色パターンがランダムカスケードモデルにより説明可能であることを明らかとした.ランダムカスケードジェネレーターの分布型として対数正規分布を用い,実験結果に対して適合性があることが示された.各実験における最大染料浸透深はスケールに比例していた.推定されたランダムカスケードモデルパラメターの標準偏差σは,実験スケールに依存する傾向を示していた.