水文・水資源学会誌
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原著論文
高精度流入量推定法を用いた神通川の小規模ダム群における推定流量の精度評価
鈴木 洋之落合 厚九田 将茂溝口 敦子
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2008 年 21 巻 4 号 p. 285-295

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抄録

水位から推定するダム流入量には貯水池水面振動に起因した振動が生じて,流入量把握を難しくする問題が知られており,近年,この流量振動の低減を図った流入量推定法が提案されてきた.しかし,ダム群の推定流入量には振動の低減と同時に上流ダム放流量と下流ダム流入量の整合性が問われるため,より高精度な推定が要求されるものの,ダム群で流入量の精度を調べた例は筆者の知る限り見られない.
本稿では神通川にある小規模発電ダム群での計測で得た詳細な水位データを用いて数値フィルタを応用した流入量推定法による流量計算を行った.本研究により発電放流量の精度劣化および洪水時に生じる小規模貯水池内の流れに起因した水位からの推定流入量と実際の流入量との差異の発生という過去の研究では考慮されていない新たな問題を示した.また,直列に存在するダムでは下流ダムの流入量情報が上流ダムの正確な流入量評価に有効であることを確認した.

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© 2008 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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