水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
21 巻 , 4 号
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原著論文
  • 伊藤 茜, 恩田 裕一, 南光 一樹, 福山 泰治郎, 森脇 寛
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 4 号 p. 273-284
    発行日: 2008/07/05
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    ヒノキにおける樹冠通過雨の空間分布特性を明らかにするため,大型降雨実験施設において室内実験を行った.施設内に樹高11 mのヒノキを植栽し,グリッド状に配置した120個の測定容器により10分間の雨量を測定した.降雨強度(雨滴の運動エネルギー)・枝下高をそれぞれ変化させ,測器間隔の差異・樹木の無い状態での人工降雨を含めて11パターンの測定を行った.樹冠通過雨量は,与えた降雨よりも測点ごとのばらつきが大きく,その範囲は与えた降雨の40-484 %であった.ばらつきの範囲は,降雨強度の大きさによって異なった.樹幹から遠ざかるほど雨量が増加し樹冠縁に沿って雨量が多くなる傾向が見られ,特に雨滴エネルギーが小さい降雨の場合に明瞭であった.雨量の多い集中滴下点は樹幹近くに多く存在することが確認された.また,枝の切り落としの前後で雨量が大きく変化した地点が,いずれも切り落とした枝の近辺に存在した.以上より,樹冠通過雨の空間分布特性について,幹からの距離及び最下層に位置する枝の配置により整理されうることが示された.
  • 鈴木 洋之, 落合 厚, 九田 将茂, 溝口 敦子
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 4 号 p. 285-295
    発行日: 2008/07/05
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    水位から推定するダム流入量には貯水池水面振動に起因した振動が生じて,流入量把握を難しくする問題が知られており,近年,この流量振動の低減を図った流入量推定法が提案されてきた.しかし,ダム群の推定流入量には振動の低減と同時に上流ダム放流量と下流ダム流入量の整合性が問われるため,より高精度な推定が要求されるものの,ダム群で流入量の精度を調べた例は筆者の知る限り見られない.
    本稿では神通川にある小規模発電ダム群での計測で得た詳細な水位データを用いて数値フィルタを応用した流入量推定法による流量計算を行った.本研究により発電放流量の精度劣化および洪水時に生じる小規模貯水池内の流れに起因した水位からの推定流入量と実際の流入量との差異の発生という過去の研究では考慮されていない新たな問題を示した.また,直列に存在するダムでは下流ダムの流入量情報が上流ダムの正確な流入量評価に有効であることを確認した.
  • 佐山 敬洋, 立川 康人, 寶 馨, 増田 亜美加, 鈴木 琢也
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 4 号 p. 296-313
    発行日: 2008/07/05
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    GCMによって予測された将来の降水量と蒸発散量を水文モデルに入力することにより,気候変動が淀川流域の洪水とダム貯水池管理に及ぼす影響を評価する.本論で実施する流出シミュレーションの特徴は,1)ダム群流況制御モデルを水文モデルに統合していること,2)約10 km2 の部分流域毎に降雨流出過程を集中化した物理分布型モデルを用いていること,3)予測された日降水量を時間降水量にダウンスケールして水文モデルに入力していることである.流出シミュレーションの結果,2031年から2050年には中規模の洪水頻度が増加する一方,2081年から2100年には低頻度で大規模な洪水の規模がより激化する可能性が示唆された.また桂川流域の日吉ダムでは2031年から2050年にただし書き操作の回数が増える予測結果となった.
  • 原 信彦, 山田 拓也, 山田 正
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 4 号 p. 314-324
    発行日: 2008/07/05
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    河川を遡上する津波などの河川遡上波の水位上昇特性や波形変化を定量的に把握することは河川管理の観点から非常に重要である.本研究では,湾曲部を有する水路を伝播する孤立波の湾曲部外周壁における水位上昇に着目して解析を行った.水路の湾曲形状を正確に解析に反映するためにテンソル解析を用いてNavier-Stokes方程式を直交曲線座標系に座標変換し,直交曲線座標系におけるEuler方程式,2次元不定流方程式を順次導出し,最終的に湾曲部形状を方程式中に取り入れた線形長波理論に基づく2次元波動方程式を導出した.この2次元波動方程式の導出過程では,曲がりに伴う遠心力の効果を方程式中に残すことにより,曲がりに伴う遠心力の効果を考慮した.この波動方程式を用いて,単一湾曲部を有する水平床数値実験水路を設定し,孤立波の伝播シミュレーションを行い,水路幅,水深,水路外周壁の曲率半径,入射波長の違いが湾曲部外周壁における水位上昇に与える影響を解析した.その結果,入射波長,曲率半径,水路幅が湾曲部における水位上昇に対して支配的に影響していることがわかった.
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