2021 年 17 巻 2 号 p. 2_126-2_138
本研究の目的は,日本における国際産学連携活動の活性化を図るための課題を特定し,そのための施策を提示することである.本稿では,日本で伸び悩んでいる国際産学連携の現状を踏まえ,その典型的な例として広島大学の過去の事例を包括的に精査することで,その課題の抽出と分析を行った.分析の際には,イノベーションエコシステムが発達していると言われるイギリスのケンブリッジ大学関係者に対して2015年に行った聞き取り調査結果と同大学のAnn Dowling教授によるイギリス政府への産学連携強化に関する答申である“Dowling Review”の内容を適時参照することで,検証を試みた.この分析で,過去投資に結びついた例は個人対個人の信頼関係から発展したものが多いこと,一方,大学と企業という組織対組織で成功しているケースはセミナーなどのイベント後の確実なフォローアップ活動等を通じて信頼感が醸成されていることがわかった.今後の国際産学活動を活性化していくためには,このフォローアップを確実に行い,信頼感を醸成していくことが重要であり,その具体化が課題であることが示された.