2021 年 24 巻 3 号 p. 415-419
症例は75歳の男性で,自宅2階の窓から転落し受傷した。直後は自分で受傷機転を説明していたが,約1時間後には発語を認めなくなり,意識障害,呼吸不全,循環障害が進行した。画像検査で骨盤骨折,左大腿骨頸部骨折を認めたが,頭部・胸部には外傷の所見はなかった。集学的治療を行い,循環動態は安定したが3日目には刺激に対し除脳硬直肢位を認めるようになった。頭部MRIの拡散強調画像でstarfield patternを認め,診断基準も満たすことより脂肪塞栓症候群(以下,FES)と診断し,家族に支持療法継続の同意を得た。症状および頭部MRI画像所見は緩やかに改善し,第62病日にGCS E4V4M6,平行棒内歩行が可能な状態まで回復し転院した。高齢者のFESにおいて経時的に頭部MRI画像を撮像することが長期間の支持療法継続の決定に有用と考えられた。