2018 年 54 巻 1 号 p. 70-74
神経芽腫は集学的治療が基本であり,その中心は化学療法である.我々は巨大腫瘤を形成し,oncologic emergencyを呈した進行副腎神経芽腫に対して積極的外科手術を行い,長期生存が得られた1例を経験した.症例は6歳男児.右上腹部の腫瘤に気づき受診,精査で右副腎に14 cmの腫瘤を認めた.腫瘤は下大静脈・大動脈を圧排していた.生検で神経芽腫と診断(病期III,N-myc増幅あり).化学療法を施行したが腫瘍は増大し,肝右三区域切除,腹部大動脈を取り囲む腫瘍摘出,右腎摘出を行った.4か月後に胸部大動脈周囲と左鎖骨上窩リンパ節に転移再発し,超大量化学療法,放射線療法が施行されたが効果なく,摘出術を行った.術後10年経過し再発はなく,無再発生存している.