日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
審査腹腔鏡にて早期診断のついた盲腸捻転の1例
春松 敏夫下島 直樹内田 豪気富田 紘史石岡 茂樹下高原 昭廣廣部 誠一
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 55 巻 2 号 p. 264-268

詳細
抄録

生来健康な女児に発症した盲腸捻転に対し,審査腹腔鏡にて診断し盲腸固定術を施行しえた症例を経験した.症例は13歳,女児.主訴は急激な腹痛.特記すべき既往歴はなし.腹部X線写真では腸閉塞像はなく,腹部CT検査では腸間膜動脈でのwhirlpool signを認め腸管捻転が示唆された.腹痛の改善もなく,発症から12時間後に審査腹腔鏡を施行した.盲腸捻転を認め,捻転解除および盲腸固定術を行った.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.盲腸捻転の術前診断は,X線写真やCT検査では難しいとされ,発症早期では,腸閉塞像なども不明瞭となる.注腸造影検査での‘beak sign’が診断に有用であるが,検査による腸管穿孔のリスクもある.今回,腹部症状と造影CTでのwhirlpool signにて腸管捻転を疑うことができ,審査腹腔鏡が早期診断に有用であった1例を経験した.回盲部温存のためにも早期診断が重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2019 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top