2020 年 56 巻 7 号 p. 1104-1109
小児外科領域において,肝外グリソン鞘一括先行確保による肝切除術の報告は過去にない.今回我々は肝芽腫腫瘍破裂に対する肝切除術において,肝外グリソン鞘一括先行確保により安全に手術を施行し,術後合併症なく経過した症例を経験したので報告する.症例は,生来健康の4歳男児で,腹痛と頻回の嘔吐を主訴に当院救急外来を受診し,腹部造影CTならびにMRIで肝左葉を占める巨大な腫瘍を認め,肝芽腫腫瘍破裂の診断(PRETEXT II)となった.血液検査所見,全身状態が落ち着いていたため化学療法先行の方針となったが,化学療法開始翌日に腫瘍の再破裂を来たしたため,緊急で肝左葉切除術を施行した.術中,肝外グリソン鞘一括先行確保の後に肝切除を行い,安全な手術が可能であった.術後も合併症は特に認めず良好に経過し,術後5か月目に退院となった.術後3年現在,再発は認めておらず生存中である.