2021 年 57 巻 7 号 p. 1099-1104
症例は7歳,男児.両側膀胱尿管逆流症に対し,1歳時にDouble HIT法による両側Deflux®注入術を施行した.術後早期に水腎を認めず,術後1年で両側膀胱尿管逆流の消失を認めたため,以降は近医で診療が行われた.6歳時に有熱性尿路感染症を発症し,左側にSFU分類grade 4の水腎症が指摘された.左尿管ステント留置を行い,7歳時に左膀胱尿管新吻合術を施行した.手術では左膀胱尿管移行部での尿管閉塞と,膀胱背側での左尿管の高度な癒着を認め,膀胱内外からの剥離操作を要した.遅発性尿管閉塞には本症例のように術後数年経過してから発見される例があり,発症すると無症状のまま腎機能低下が進行する可能性がある.本症例では,Deflux®の不適切な層への迷入や異物反応による慢性的な炎症などが原因として推察され,Deflux®注入術後は超音波検査等を用いた長期的な経過観察が必要と考えられた.