2026 年 62 巻 6 号 p. 1033-1039
症例は,胎児期に巨大膀胱を認め正期産で出生した女児.生後哺乳・排便良好.間欠導尿を始め,日齢27に退院.生後7か月頃便秘となり浣腸を開始.次第に腹部膨満と腸管拡張像が目立ち,1歳時から鬱滞性腸炎を繰り返した.直腸粘膜生検ではHirschsprung病は否定.当院転院後,腸管減圧目的に回腸瘻,次いで胃瘻を造設した.1歳11か月時に腸瘻嵌頓を生じ,回腸部分切除と回腸瘻を再造設した.以降の栄養は経口摂取のみで経過.精査にてACTG2遺伝子変異を認めvisceral myopathyと診断した.平滑筋アクチンγ2をコードするACTG2遺伝子の変異はvisceral myopathyと称され,巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症MMIHSの一因でもある.乳児期後期に腸閉塞症状を生じた本症は,本邦MMIHS診断基準に合致しないが,海外文献ではMMIHSと同じ範疇であるvisceral myopathyあるいはACTG2関連疾患に該当した.慢性偽性腸閉塞症の定義や分類の再考にあたり,遺伝子検査は一助になる.