日本緑化工学会誌
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論文
岩手県に残存する半自然草原群落の現状および過去との比較による保全生態学的研究
新井 隆介大窪 久美子
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2014 年 40 巻 1 号 p. 142-147

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抄録

岩手県では半自然草原群落が急速に減少しているため,本研究では残存する群落と過去の群落の種構成を比較することにより,半自然草原群落の適切な保全策について検討することを目的とした。その結果,残存する群落はススキ優占型MsI型とMsII型,シバ優占型ZjI型とZjII型の4 群落に分類された。過去に記録されたススキ群落は,本研究におけるシバ優占型の出現種と一部共通していた。過去のススキ群落の管理条件から,この群落の成立には春季の火入れと秋季の刈取り管理が重要であったと考えられた。さらに残存する群落では遷移進行が確認され,その保全には刈った草木を群落外に搬出する管理条件の改善が急務であると考えられた。

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