日本手外科学会雑誌
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自由投稿論文
手の疼痛に対する振動刺激の客観的効果と適応の検討
早﨑 涼太中村 充雄中村 眞理子
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2024 年 41 巻 2 号 p. 143-147

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抄録

手の疼痛に対する振動刺激について,客観的効果と効果的な対象を,知覚・痛覚定量分析装置PainVision®,個人因子である性格傾向(TIPI-J)と状態不安(STAI)を用いて検討した.対象は右利きの成人健常者46 名とし,TIPI-J とSTAI を記載した後,両手掌を合わせた状態で左手関節へ振動刺激を行い,右手関節に生じうる運動錯覚について強度(VAS)と角度を評価した.そして,振動刺激前後にPainVision® を使用し,疼痛の客観的指標である痛み度を算出した.その結果,振動刺激前後で痛み度に有意差を認め,運動錯覚の有無による比較では,運動錯覚が生じた群のみに有意差を認めた.一方,振動刺激の効果的な適応となる対象のモデルは,性格傾向や不安といった個人因子から生成されなかった.運動錯覚の惹起は客観的に疼痛を改善させるため,今後は個人因子以外の要因から運動錯覚の惹起率向上や強化を図る方略を検討することが必要と考えられた.

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