日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
橈骨遠位端骨折の矯正損失を予防するために当科で行っている手術手技
大村 泰人関根 巧也上原 浩介門野 夕峰
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2024 年 41 巻 3 号 p. 211-217

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抄録

橈骨遠位端骨折(DRF)に対して優れた固定性が得られる掌側ロッキングプレート(VLP)の内固定も,解剖学的整復とVLP の至適な設置が実現できなければ,矯正損失を生じるリスクがある.著者らは最初に掌側皮質骨の解剖学的整復を行い,これを確実に仮固定した後にVLP を設置しており,これがすべての骨折型で矯正損失を防ぐ重要な手段と考えている.今回,著者らの手術手技の有効性を,DRF の矯正損失のリスク因子である掌尺側皮質骨粉砕例を後ろ向きに調査することで検討した.対象は掌尺側皮質骨の粉砕を伴うDRF で,術後3 か月間以上経過観察できた23 例である.術直後と最終診察時のradial inclination(RI),palmar tilt(PT),ulnar variance(UV)を計測し,ΔRI≧5 度,ΔPT≧5 度,ΔUV≧2mmを矯正損失ありとした.矯正損失割合が25~56%と報告される掌尺側皮質骨粉砕例でも,本研究では8.7%と低く,本手術手技の有効性を示唆する結果となった.

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