日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
学術集会発表論文
手根管内腫瘤による手根管症候群の診断と手術治療経験
大野 義幸山本 恭介
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 41 巻 6 号 p. 774-779

詳細
抄録

2018 年1 月以降,手根管症候群の手術症例には術前超音波検査(以下,エコー)をルーチンに行った.200 手のうち,6 手に手根管内腫瘤(STT 関節由来のガングリオン2 手,Tumoral calcinosis 2 手,Trigger wrist 2 手,屈筋腱付着のガングリオン1 手,屈筋腱付着の腱鞘線維腫1 手)があり,全てエコーで確認できた.6 手全て直視下に腫瘤切除を行い,Kelly 評価で優67%,良33%であった.また,以前の手根管開放術(右:直視下,左:鏡視下)後の再発例1 例2 手の直視下再手術(病理組織検査でアミロイド沈着陽性にて多発性骨髄腫と判明)と母指球筋枝単独麻痺の1 手(エコーで偽陽性)にも直視下手術(それぞれ良2 手,優1 手)を行った.残りの191 手には鏡視下手根管開放術を行い,術後合併症はなく,Kelly 評価で優29%,良71%であった.本研究における手根管内腫瘤の多くは症状(弾発,腫瘤感),単純X 線像(石灰沈着)でほぼ診断がついたが,術前に正中神経の評価,腫瘤の確認,病態確認にエコーは有用と考えられた.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本手外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top