日本野生動物医学会誌
Online ISSN : 2185-744X
Print ISSN : 1342-6133
原著論文
昆虫食コウモリ3種(アブラコウモリ,ヒナコウモリおよびテングコウモリ)の舌の比較形態学的観察
進藤 順治岡田 あゆみ箕輪 一博吉村 建
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キーワード: 昆虫食コウモリ, 舌乳頭, SEM,
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2011 年 16 巻 1 号 p. 55-63

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抄録

コウモリは昆虫,果実,花蜜,肉や血液など種によりさまざまな食性がみられているが,食性と関係が深い舌形態についてはあまり明確にされていない。今回,多様な食性を有するコウモリ類の中で,昆虫食のアブラコウモリ,ヒナコウモリおよびテングコウモリの舌乳頭を走査型電子顕微鏡にて観察し,既知のコウモリと比較し種間や食性との関連性について検討した。アブラコウモリとヒナコウモリおよびテングコウモリの3種の舌は棒状を呈し,舌前部は平坦であるが舌後部には舌隆起部がみられ,特にアブラコウモリとヒナコウモリは高く隆起していた。舌乳頭は,いずれも糸状乳頭,茸状乳頭,有郭乳頭および葉状乳頭が観察された。さらに糸状乳頭は,舌尖部に限局する分岐状,舌前部に分布する切頭円柱状,隆起部に分布する大型,舌後部に円錐状の4タイプの基本形態に分類された。茸状乳頭は舌前部から舌隆起部に分布し,その後部には,明瞭な輪状郭に囲まれた1対の有郭乳頭,また舌後部両側面に葉状乳頭が観察された。今回観察した3種の昆虫食コウモリと既知のコウモリを比較した結果,舌隆起部,複数タイプの糸状乳頭,2個の有郭乳頭と葉状乳頭を有する点は昆虫食コウモリの共通の特徴であった。

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© 2011 日本野生動物医学会
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