本研究は自転車部品業界で世界トップ企業のS社を選び,その知的財産戦略を明らかにすることを目的にした。S社は自転車部品業界で世界的に圧倒的なシェアを持つことと,自転車部品の組み合わせであるコンポーネントは独自のものを提供しながら,その外部インターフェースは公開されていることから「自転車界のインテル」と言われている。しかし調査するとビジネスモデルも知財戦略もインテル社とは異なる。また,自転車業界がEバイクに急速に移行する中,S社は後発でありながら,Eバイクのコンポーネントでも一定のシェアを確保している。そこでS社の自転車部品におけるトップシェア獲得と,Eバイク市場への参入における知財戦略の研究を行った。