2025 年 75 巻 7 号 p. 331-334
本稿では,研究データ管理(RDM)が大学における研究活動をいかに促進し得るかを,大阪大学大学院 理学研究科 分析機器測定室の事例を通じて,部局的観点からの実践と課題を考察する。同施設は,NMRや電子顕微鏡などの高度分析機器をスタンドアロン環境で運用し,研究データのセキュリティを確保している。一方で,データ共有や管理の効率性に課題があり,独自のデータ集約・配信システムや小型PCを活用した手法により,安全性と利便性の両立を図っている。さらに,分散配置された機器群に対応する支援体制や自動化されたデータ配信システムは,研究成果の迅速な活用を可能にしている。